2019 年 22 巻 3 号 p. 34-43
目的:療育機関に通所している未就学の発達障害児の親が感じている困りごとおよびペアレント・メンター(以下,メンター)への相談希望とその関連要因について明らかにする.
方法:3歳から就学前の発達障害またはその疑いのある児を育てている親を対象に自記式アンケート調査を行った.内容は,発達障害の診断の有無,児の行動上・生活面での困りごと,親自身の困りごと,メンターの認知度や相談希望,メンターになる意志等である.児の年齢別・相談希望の有無別にχ2検定を行った後,相談希望に関連する要因を検討するためにロジスティック回帰分析を行った.
結果:児の行動上・生活面・親自身の困りごとは各80%以上の親にみられた.メンターへの相談希望は82%,自身がメンターになる意志がある親は42%であった.メンターへの相談希望がある者は,発達障害の診断がある,相談相手と人間関係の不安がある,メンターとなる意志がある者に有意に多く,ロジスティック回帰分析の結果,メンターへの相談希望はメンターとなる意志ともっとも大きく関連した.
考察:療育機関に通う未就学の発達障害児の親の多くは児と親自身の困りごとを感じ,メンターへの相談希望があった.メンターへの相談希望はメンターとなる意志ともっとも関連したことより,親が安心してメンターへ相談できるよう,将来メンターとなることも視野に入れて支援する必要性が示唆された.