日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
スタッフがとらえた新卒訪問看護師の成長と支援
小林 愛丸尾 智実河野 あゆみ
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2019 年 22 巻 3 号 p. 44-53

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抄録

目的:訪問看護ステーションのスタッフが,新卒者の就職後1年間の成長をどのようにとらえ,どのような支援をしているかを明らかにすることである.

方法:新卒者を初採用した2か所の訪問看護ステーションに勤務するスタッフ12人を対象に,新卒者の就職直後・単独訪問開始後・就職1年後に半構造化面接を行い,データを質的に分析した.

結果:スタッフは,看護実践における新卒者の成長過程として,就職直後は【緊張があるが,基本的な態度や観察力を備え,利用者に自然に寄り添う】,単独訪問開始後は【不安や焦りがあるが,看護師としての自覚が芽生え,限られた訪問看護実践を行う】,就職1年後は【状況に左右されるが,責任感をもち,基礎的な訪問看護実践を行う】ととらえていた.スタッフは新卒者の成長を促進するために,就職直後,【環境を整え,みせながらいっしょに実践する】ことを中心に支援しており,単独訪問開始後は【思考を引き出しフィードバックし,補いながら実践させる】支援を,就職1年後は【課題を明確化し,確認しながら実践を積ませる】支援を中心に行っていた.

考察:スタッフの認識から,新卒者は就職1年後には基礎的な訪問看護実践ができるまでに成長していることが示され,スタッフは新卒者の成長過程に応じて,自らの実践を「みせる」関わりから新卒者の実践を「補う」関わり,「確認する」関わりへと方法を変化させながら支援していることが明らかとなった.

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© 2019 一般社団法人 日本地域看護学会
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