日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
アクションリサーチによる地区組織基盤の世代間交流プログラムの開発と評価
有本 梓伊藤 絵梨子白谷 佳恵田髙 悦子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 23 巻 2 号 p. 21-32

詳細
抄録

目的:地区組織基盤の世代間交流プログラムを開発し,1年後の高齢者の健康ならびにソーシャルキャピタル(SC)への評価を行い,今後の地域づくりにおける示唆を得る.

方法:2015年2月~2018年3月にA市2地区で高齢者ボランティア(参加群)を対象に,園芸活動を中心とする世代間交流プログラムを実施した.世代間交流の不足,フレイルの地域の問題解決のために,住民・地区組織・自治体・大学などがアクションリサーチを展開した.定量的評価として,基本属性,健康指標(握力等),SC(地域コミットメント等)についてベースラインと1年後に測定し,地域在住高齢者(非参加群)と比較した.定性的評価として,フォーカスグループディスカッション(FGD)を実施し質的に分析した.

結果:参加群(n=36)は72.6±5.6歳,非参加群(n=36)は74.7±4.6歳,両群ともに男性23人(63.9%)であった.参加群は非参加群に比べ,握力の改善傾向がみられた.非参加群では地域コミットメントが有意に低下したのに対し,参加群では維持されていた(p<0.05).FGDでは,【子どもたちと関わり合える喜び】【経験の伝承による子どもの育成】【内省による人生の価値づけ】【地域の人とのつながりの拡大】等が抽出された.

考察:地区組織基盤の世代間交流プログラムにより,高齢者の健康およびSCに効果がもたらされる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top