目的:本研究の目的は,保健医療専門職である母親がどのような考え方にもとづき,乳幼児期の子どもに甘味飲料を与えるのか,その対応を明らかにすることである.
方法:研究参加者は小学生以下の子どもをもち,市町村に勤務する保健師等の保健医療専門職である.3グループにフォーカスグループディスカッションを行い,甘味飲料を与えることに対する考え方等をたずねた.分析方法にはSteps for Coding and Theorizationを用いた.
結果:母親は場所やその場にいる人,子どもの状態等そのときどきの状況に応じて,甘味飲料の対応を〈厳格制限〉または〈育児ニーズ提供〉〈関係重視受け入れ〉という3つから選択していた.母親の甘味飲料の対応は,3つの選択肢をもちながら状況に応じて変える【トリプルスタンダード対応】であった.
考察:本結果は,乳幼児期の自分の子どもにできるだけ甘味飲料を与えたくないと考えている母親が,状況に応じた対応を選択している実態を示している.今後は,乳幼児の甘味飲料の習慣化を抑えるための効果的な支援方法を明確にする必要がある.