2020 年 23 巻 3 号 p. 39-46
目的:要配慮者を支援する自主防災組織の活動実態を明らかにし,災害に備えて要配慮者を住民相互の助け合いにより支えるための課題を検討することを目的とする.
方法:要配慮者への支援活動を積極的に行っている10の自主防災組織リーダー18人に半構成的面接調査を行った.聴取内容から自主防災活動開始のきっかけとねらい,要配慮者への支援に関する活動上の工夫,困難に感じていることの語りを抽出してコードを作成し,質的帰納的に分析した.
結果:要配慮者への支援の工夫として,要配慮者の把握には【全対象への独自調査や訪問】など8カテゴリーが,個別支援計画の策定には【要配慮者と支援者とのマッチングに関する工夫】など4カテゴリーが,避難訓練には【地域住民や中学生・関係機関への働きかけによる訓練実施の協力体制づくり】など5カテゴリーがあった.また,日常の支援活動を災害への備えに連動させる工夫には【普段からの見守り活動による安否確認の継続】他3カテゴリーがあった.困難に感じていることは【支援者不足と負担の増加】や【支援を求めにくい人の把握や関係づくり】他5カテゴリーがあった.
考察:災害に備えて要配慮者を住民相互の助け合いにより支えるための課題として,「支援を求めにくい要配慮者と自主防災組織とのつながりづくり」「地域に潜在する人材の力量発揮と支援者の作業負担の軽減」と「要配慮者への支援の後ろ盾となる協力関係の確保」が考えられた.