日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
資料
自治体規模と市町村保健師による発達面で気になる児の抽出割合および児の親から今までに受けた相談内容との関連
須田 由紀村松 照美
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 23 巻 3 号 p. 32-38

詳細
抄録

目的:山梨県下における自治体規模と市町村保健師による発達面で気になる児の抽出割合および親から今までに受けた相談内容との関連について明らかにする.

方法:山梨県内全27市町村の母子担当リーダー保健師27人と市町村保健師312人に無記名自記式質問紙調査を実施した.調査内容は自治体規模,発達面で気になる児の数,親から今までに受けた相談内容等.自治体規模と保健師による発達面で気になる児の抽出割合との関連にはMann-Whitney U検定,目的変数を自治体規模とし,親から今までに受けた相談内容で自治体規模との関連が示唆された6因子を説明変数として投入し多重ロジスティック回帰分析を行った.

結果:自治体規模と保健師による発達面で気になる児の抽出割合との関連については,1歳6か月児・3歳児健診ともに有意差はなかった.自治体規模と親から今までに受けた相談内容で有意な関連がみられたのは「児の発達面で気になる点について保育園や幼稚園の子ども達やその親の理解が得られない」(p=0.043),「家事・育児・仕事の両立がむずかしい」(p=0.008),「継続して通える発達支援の訓練の施設が少ない」(p<0.001),「継続して発達支援の訓練に通うための親の時間的負担が大きい」(p=0.021)の4因子であった.

考察:市町村保健師には地域特性を包括的にとらえたうえで,家族全体を支え続ける支援が求められていると考える.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top