日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
原著
児童虐待対応における児童相談所保健師の支援関係形成のプロセス
藤村 保志花西嶋 真理子
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2024 年 27 巻 1 号 p. 4-14

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抄録

目的:児童相談所(以下,児相)に配属された保健師が児童虐待対応において親と支援関係を形成する際の思考と行動のプロセスを明らかにする.

方法:方法は質的帰納的研究,対象は児相で乳幼児の児童虐待対応の経験がある保健師8人とした.半構造的面接法でデータを収集し,M-GTAで分析を行った.

結果:38の概念と12のサブカテゴリー,5つのカテゴリーを生成した.児童虐待対応における児相保健師の支援関係形成のプロセスは,『なによりも子どもの生命を優先する』を土台に,『親と対峙する姿勢』と『親への受容的な態度』を両立し,『途切れず気にかける』にたどり着くプロセスであり,その中心には『腰を据えてありのままを認める態度』が存在した.

考察:児相保健師の支援の土台となる『なによりも子どもの生命を優先する』は,児相の設置目的と相談援助活動の理念に合致していた.本研究で明らかになったプロセスから,信頼関係の形成に固執するのではなく,関係性を紡ぎ続けて支援していくことの重要性が見いだされた.また,児相保健師が『腰を据えてありのままを認める態度』を意識して『途切れず気にかける』関係性を紡いでいることが明らかになったことが本研究の新規性である.

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