2024 年 27 巻 2 号 p. 14-22
目的:介護予防効果の指標として主観的認知機能に注目し,高齢者が生活支援を実施するだけではなく生活支援に対する意向をもつことが介護予防につながるという仮説を立て,地域在住高齢者の生活支援の担い手となる意向および実施と主観的認知機能低下の関連について検討した.
方法:A県B町C地区に居住する65歳以上の高齢者881人を対象に,自記式質問紙調査を行った.主観的認知機能低下の評価は,自記式認知症チェックリストを用いた.調査時期は2018年6~7月であった.
結果:分析対象者は493人であった.主観的認知機能低下なし群と比較して,主観的認知機能低下あり群には,生活支援の意向がない者,生活支援の実施がない者が多かった.ロジスティック回帰分析では,生活支援の意向は実施をモデルに投入すると主観的認知機能低下との関連がみられなくなった.生活支援を実施していない者は主観的認知機能低下がある可能性が高かった(オッズ比:2.65, 95%信頼区間:1.39-5.08).
考察:生活支援の実施と主観的認知機能低下に関連がみられた.今後は,長期間の調査の実施や他地域との比較など,よりよい生活支援体制の構築に向けてさまざまな角度から検証を続ける必要がある.