2024 年 27 巻 3 号 p. 6-16
目的:新任期保健師と母親との信頼関係構築のプロセスを明らかにする.
方法:経験年数5年未満の行政に勤務する新任期保健師30人に対し,インタビューを行い,得られたデータから修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
結果:新任期保健師と母親との信頼関係構築のプロセスは,≪受けいれられるための試行錯誤≫≪協働関係の第一歩≫≪共に作り上げる≫の3つの段階であった.母親との関わりの最初は<母親がみえないなかでの関わり>と<関わり続けることの不安と苦悩>が並行していた.不安と苦悩に対応するために<真摯に向き合う>を行い,<母親の全体像を自分なりにつくってみる>をしていた.新任期保健師は<真摯に向き合う>と<母親の全体像を自分なりにつくってみる>を繰り返すうちに,母親との関係が変わる<流れが変わるのを感じる>,新任期保健師の<母親に合わせた支援>が,次第に【対等な関係】となり,<一体感の手ごたえ>を感じた新任期保健師が,【知識と経験を活用する】ことで,母親と【共に次の一手が考えられる】を行い,≪互いに作り上げる≫につなげた.
考察:新任期保健師が,第1段階の≪受け入れられるための試行錯誤≫を乗り越えられるように重点的にサポートすることは,その後新任期保健師自身が考え,実践し,自分なりの支援方法の確立を目指すことを可能にすると考える.