日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
プリシード・プロシードモデルおよびフォーカス・グループ・インタビュー法の活用と適用可能性 : 中年婦人の老後に関するニーズに焦点を当てて
清水 洋子福島 道子高村 寿子郷間 悦子星野 明子成木 弘子柳澤 尚代
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2001 年 3 巻 1 号 p. 171-175

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抄録
本研究では,地域看護の活動方針や健康教育の計画・実践・評価を行うための科学的なアプローチの手法を検討するため,プリシード・プロシード・モデル(以下,MIDORIモデル)およびヒアリング方法としてフォーカス・グループ・インタビュー法(以下,FGI)に着目し,これらの適用可能性を検討することをねらいとした.今回はA県B市K地区の中年婦人を対象として,老後生活に焦点を当てた住民のニーズを把握するため,MIDORIモデルの第1段階(社会診断)としてFGI法を用いてデータ収集した.得られた質的情報はMIDORIモデルを用いて分析した.本稿は,それらの活用結果と適用可能性について報告したい.1.MIDORIモデルとFGI法を活用した結果,K地区中年婦人の老後生活に備えて保健婦が活動すべき点として,「QOL(他者と交流したり,互いに助け合うことを通して安心して老後を迎え,自立した老後生活を送り,丈夫で長生きをする)」の実現をめざして,「老いを実感して受け入れる(準備因子)」,「高齢を体験する;たとえば高齢者疑似体験など(強化因子)」,「交流の場がある(実現因子)」に働きかけることが求められていると考えられた.2.MIDORIモデルを用いてデータを分析した結果,同モデルに政策や環境に関する枠組み(「強化因子」「実現因子」「環境」)があるため,健康教育が個人の行動変容のみならず,環境に働きかける必要性とその具体的内容が明確になり,健康教育の計画がより具体化することが明らかとなり,保健活動における有用性が示唆された.3.FGI法を用いて調査を行った結果,「QOL」の項目など個々の参加者の意見だけでなく,グループとして意見を確認することができたこと,対象から「ぜひこのような話し合える機会を続けて欲しい」など,調査に対する肯定的な意見が出され,住民のニーズを把握するための調査法として有効であると考えられた.
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© 2001 一般社団法人 日本地域看護学会
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