日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
市町村の福祉分野で活動する保健婦の業務実態と活動上の課題
山崎 洋子山岸 春江太田 真里子
著者情報
キーワード: 市町村, 福祉分野, 保健婦
ジャーナル フリー

2001 年 3 巻 1 号 p. 163-170

詳細
抄録
本研究は,市町村の福祉分野で活動する保健婦の活動の実態と今後の課題を明らかにすることを目的とした.現在山梨県の福祉分野に所属する保健婦30人のうち,調査に同意の得られた13市町村14人の保健婦とその上司を対象とした.14人の保健婦のうち,12人は保健婦としての職歴が5年以上あり,所属は福祉事務所,在宅介護支援センター,社会福祉協議会などであった.まず,保健婦の業務の実態を掴むために3日間の業務をたずねた.さらに,面接により,保健婦自身と直属の上司双方から,活動の成果や福祉サービスへの影響,今後の課題について聞き取り調査した.その結果,業務の内容は,介護保険の申請受けつけ,認定調査,ケアプラン作成など介護保険に関わる業務,住民からの介護相談,ケース連絡や庁舎内連絡などの連絡調整,研修やサービス調整会議などの会議,家庭訪問,ヘルパー援助などであった.その活動の成果として保健婦自身は,連携の推進や福祉サービスの窓口の役割,個別援助事例でのサービスの調整などをあげ,直属の上司は,保健医療面の専門性やサービスの窓口機能,職員の意識改革などを成果に上げていた.市町村の福祉分野の保健婦は,保健分野で培われた看護専門職としての知識や技術を駆使して住民の福祉ニーズに応えようとしており,保健婦の上司は,保健婦のもつ保健医療面の知識や技術を高く評価していることが確認された.今後の課題として,保健婦の福祉分野での活動実績を協働する他の職員や他職種にわかりやすく示すような取り組みと,福祉分野での実践の成果を保健分野の保健婦活動に還元するような働きかけが望まれる.
著者関連情報
© 2001 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top