抄録
目的:看護基礎教育において,公衆衛生看護の初学者が地域を対象とする看護アセスメントを行うにあたり,学習支援のツールとして活用できる教育用モデルを開発し,有用性と妥当性を検討した.開発の方法:モデルは,わが国での公衆衛生看護を展開するためのアセスメントの視点および判断の考え方を明らかにするものとした.コミュニティ・アズ・パートナー・モデルをもとに作成した.モデルの試作,試用,評価を2年間行い,「地域の看護アセスメントのための教育用モデル(S2000)」を開発した.評価方法:モデルのわかりやすさと有用性の評価を,演習後および実習後に106名の学生に自記式質問紙を用いて行った.学生にとっての有用性およびモデルの妥当性について,30名の実習指導者による評価を行った.さらに,4名の保健婦教育課程教育担当者に,面接による妥当性の評価を行った.結果:学生からはモデルは学習を支援するものとして有用であり,モデルのわかりやすさに関してはおおむね肯定された.有用性については,アセスメントの一連の過程を通して学生および実習指導者に肯定された.妥当性については,実習指導者および教育担当者から肯定された.まとめ:公衆衛生看護における地域の看護アセスメントの教育用モデルは,利用者である学生から有用性が支持され,熟練した専門家からは妥当性が肯定された.今後の課題としては,健康課題の構造化のわかりやすさ,用語のわかりやすさ,アセスメント指標と基準の精選,介入モデルとの連結があげられた.