日本教育工学会論文誌
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起業家の学習研究の現状と課題
経験学習理論に着目したスコーピングレビュー
新村 和大渡邉 万里子中原 淳
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論文ID: 48105

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抄録

起業家の学習(Entrepreneurial Learning, EL)は,アントレプレナーシップを促進する重要な要素であり,これを解明するEL研究は今世紀に入ってから有望な研究領域に発展した.EL研究では既に複数の文献レビューが発表されているが,とりわけ重要な理論とされる経験学習理論を用いたEL研究については,全体像や研究課題が明らかにされていない.こうした問題意識に基づき,本研究では経験学習理論を用いたELの先行研究105件を対象とするスコーピングレビューを実施した.その結果,テーマ・アプローチの両面で偏りが確認され,また対象となる起業家の経験も多様であり,研究が分散化している状況が明らかになった.これを受け,今後の研究課題として,起業家にとって特に重要な経験に着目すること,中数データでの実証研究を試みること,実社会への還元のため研究と教育の接続を図ることを提言する.

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