抄録
本研究の目的は,日本の地方公共団体に働く保健師にとって施策化のもつ意義と,保健師活動の方向性を示唆することであり,1995年1月〜2001年7月までに保健師の施策化に関して発表された日本の文献をレビューした.その結果,以下の知見が得られた.1.保健師の施策化への関心の高まりは,国全体の行政改革や地方分権等の影響を受けていた.2.施策化を推進していく際には,マネジメシト・サイクル・モデル(Plan-Do-See),政策過程モデル,地域づくり型保健活動モデルの,3つのモデルが用いられていた.3.事例の分析により,保健師の施策化には,政策を地域の現状や住民ニーズに適応するような施策に修正し,具体的な事業を提供する「政策に基づく施策化」と,保健師が日常業務の中で把握した住民ニーズに基づいて,新たな事業を起こし,政策や施策へ反映させる「ニーズからの施策化」の2方向あるという知見が得られた.