日本血管外科学会雑誌
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症例
術中腸管壊死・穿孔を合併した90歳腹部大動脈瘤破裂の1救命例
池田 知歌子 野田 征宏坪田 誠
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2018 年 27 巻 5 号 p. 367-372

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抄録

症例は90歳女性.意識消失と腹痛にて救急搬送,CTで腹部大動脈瘤破裂と診断された.ショックが進行しRutherford分類レベル3と判断,緊急開腹手術を施行した.腎動脈上まで血腫進展を認めFitzgerald IIIと診断,大動脈右側壁に径20×20 mmの円形破裂孔を認めた.人工血管置換術を施行したが術中に腸管壊死が進行,菲薄化した下行結腸が穿孔した.このため一期的に左側横行結腸~S状結腸口側まで腸切除し,多量の温生食で洗浄,ドレーン留置し,人工血管周囲に大網を充填,人工肛門を造設した.術後敗血症性ショックに対しエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)+持続血液濾過透析(PMMA-CHDF)を行った.呼吸不全,腎不全から離脱し経過良好で,リハビリ目的に転院.現在ADL自立し杖歩行にて外来通院中である.90歳以上の超高齢者で腸管壊死・穿孔合併腹部大動脈瘤破裂の救命例は極めて稀と考えられ報告した.

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