日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
在宅要介護高齢者の介護者の介護自己評価と社会サービス利用状況
高橋 和子佐々木 明子
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2003 年 6 巻 1 号 p. 19-24

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抄録
目的:本研究は,介護者の介護に関する自己評価の実態を把握し,自己評価の関連要因と評価の相違による社会サービス利用状況の特徴を明らかにすることで,在宅療養における社会的支援の方向性を検討することを目的とする.方法:対象は,山形県A市訪問看護ステーションの65歳以上の利用者の介護者85人である.調査は,基本属性,介護状況,社会的支援の状況について自記式調査票の記載を依頼し,郵送法で回収した.要介護高齢者のADL状況などについては,担当訪問看護師が調査栗の記載を行った.介護者の介護自己評価は,日常生活介護7項目について必要な介護項目のみ5段階で自己評価をしてもらった後,「できる」群,「できない」群に2分した.また,他要因との関連の検討は,合計点の平均値をもとに「できる」群,「できない」群に2分して分析を行った.結果:「歩行・車椅子移動介助」,「コミュニケーションの工夫」は,他の介護項目と比較し,「できる」と評価した割合が低かった.インフォーマルサポートとの関連では,「家族の介護への協力のしかた」,「友人・親戚の介護への協力のしかた」,「家族の精神的な支え」の満足度が「できる」群より「できない」群で有意に低かった.社会サービス利用希望については,「できない」群は,「訪問入浴サービス」,「ホームヘルプサービス」,「ショートステイ」の継続利用を希望しない割合が比較的高く,「日常生活用具貸与・支給」,「介護手当支給」の利用希望割合が高かった.結論:介護自己評価の「できない」群は,物質・経済的支援の社会サービス利用希望は高いが,人的な介護支援サービスの利用希望は低く,インフォーマルサポートの満足度も低かった.「できない」群の介護者へは技術的援助とともに介護社会における孤立を予防する支援の必要性が示唆された.
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© 2003 一般社団法人 日本地域看護学会
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