抄録
目的:地域で生活する頸髄損傷者を対象に,健康生活習慣やQOLに関連する要因を明らかにすることにより,地域看護の視点から健康支援を検討することである.研究方法:頸髄損傷者連絡会G県支部の頸髄損傷者を対象として,健康生活習慣および意識・QOL項目について,郵送による自記式調査を実施した.同意の得られた60名を分析対象とした.結果:男性が81.7%,30〜50歳代が68.4%を占めた.受傷後の経過期間は「11年以上」が半数を占めた.障害の程度は,1級の重い障害を有する者が90%を占めた.健康生活習慣では,「間食習慣なし」「塩分控える」「運動習慣」「栄養バランスに気をつける」の実施率が低かった.QOL値においては,身体的要因による差はみられず,主観的な健康状態満足度・障害の受容など意識項目との関連がみられた.結論:頸髄損傷者が主体的に健康管理を行うために,健康生活習慣指導を実施していく必要性があると考える.セルフケア能力を支援することがQOLを高め,地域での生活を支援することになると考える.