日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
7 巻, 1 号
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  • 佐伯 和子, 和泉 比佐子, 宇座 美代子, 高崎 郁恵
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 16-22
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    行政機関に働く保健師の専門職務遂行能力の発達の実態を明らかにすることを目的とした.4県の行政機関の保健師3,024人を対象に質問紙による郵送調査を行い,1,829人の回収のうち有効回答1,614人(53.4%)の分析を行った.専門職務遂行能力は,「対人支援能力」(個人家族支援,方法としての集団支援)と「地域支援および管理能力」(地域活動,施策化,管理教育)で構成される尺度を用い,自己評価により測定した.保健師の専門職務遂行能力の自己評価は,経験とともに高くなっていた.「対人支援能力」は新任期に大きく伸び,中堅期以降は緩やかな発達であった.「地域支援および管理能力」のうち,地域活動は「対人支援能力」と同様な発達傾向を示し,施策化および管理教育は経験とともにほぼ緩やかな発達を続けていた.自己評価は,「対人支援能力」の項目が「地域支援および管理能力」の項目よりも高かった.新任期,前期中堅期,後期中堅期,ベテラン期の比較では,4群間に有意な差が認められた.以上のことから,保健師の専門職務遂行能力の発達の実態に基づき,段階を追った継続教育のプログラムとして,「対人支援能力」は新任期に,「地域支援および管理能力」のうち施策化は後期中堅期に重点が置かれることが適切と考えられた.
  • 宮島 ひとみ, 別所 遊子, 細谷 たき子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:配偶者と死別した高齢女性の生活満足度に影響を与える要因を,死別経験による成長感やソーシャルサポートの受領などから明らかにする.方法:F県3市1町の60歳以上の女性351名に自記式の質問紙調査を実施した.内容は,属性,生活満足度尺度K(以下,「LSIK」),死別経験による成長感尺度(以下,「成長感尺度」),現在および死別時の情緒的・手段的サポート,主観的健康状態・経済状態,死別時の気分の落ち込みおよび生活上困難の有無等であった.有効回答279のうち死別群153名と非死別群126名についてMann-Whitney検定およびKruskal Wallis検定を行った.結果:LSIK得点は死別群と非死別群との間で差はなく,主観的健康状態および経済状態が高い者のほうがLSIK得点が高かった.死別群は同居家族からの情緒的サポートがある者のほうがLSIK得点が高かった.LSIK得点と成長感得点との間に相関はみられなかった.死別時の落ち込みがあり情緒的サポートがあった者あるいは生活上の困難があった者のほうが成長感が高かった.結論:配偶者と死別した高齢女性の生活満足度を高めるためには,よい健康状態と経済状態を維持すること,情緒的サポートを得ることが重要である.また,成長感を高めるためには,死別時にサポートを受け困難な状況を乗り越えることが重要である.
  • 鳩野 洋子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:介護予防活動を推進するために,要介護状態へ移行する危険性の高い前期高齢者を把握するための,要介護状態リスク尺度を開発することを目的とした.研究方法:先行研究により収集された項目を再度検討し,8概念から構成される46項目の尺度原案を作成した.人口3万人以上30万人未満の自治体に在住する,現在介護保険の要支援の認定を受けている65歳から74歳までの高齢者(要支援高齢者)と,その対象と性別が同じで年齢差が3歳以内の介護保険認定を受けていない高齢者(一般高齢者)に対して,尺度原案のほか属性や併存妥当性を検討するための項目について,郵送法による質問紙調査を実施した.結果:有効回答339組を分析に用いた(有効回答組38.3%).同時複数項目削減相関係数法や因子分析の結果により,最終的に7因子28項目からなる尺度が得られた.因子抽出後の累積寄与率は53.6%であった.28項目の妥当性は,要支援高齢者と一般高齢者との得点の比較,EuroQOL尺度日本版との相関係数によってほぼ確認された.また信頼性に関して,クロンバックα係数は0.887,再検査法のrs係数は0.958であった.しかし下位尺度に関しては信頼性,妥当性とも問題を残した.結論:下位尺度の信頼性と妥当性,および適応対象の限界はあるが,本尺度は要介護状態に移行する危険性の高い対象の弁別には,全項目を用いることで活用可能であることが示唆された.
  • 秋山 さちこ, 海老 真由美, 村山 正子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 35-40
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,住民自主組織に所属する個人エンパワメント構造を明らかにすることを目的とした.方法論としてエスノグラフィーの手法を用い,データ収集は,2つの住民自主組織(以下組織と略す)のいずれかに所属し,研究同意が得られた12名に対する参加観察,インタビュー,既存の資料等の検討であった.得られたデータを個人の活動変化の内容を明らかにする観点から分析した結果,以下のことが明らかとなった.1.個人エンパワメントのテーマを表すカテゴリーは,【人生の再デザイン】であった.これは組織に所属したことで,個人が生き方を再考し,方向づけたことを示している.また【人生の再デザイン】は,本研究の重要な意味をもつカテゴリーの1つであった.テーマを中心にカテゴリーを見直した結果,プロセスと結果の2側面を示していた.2.人生の再デザインまでのプロセス:(1)個人に影響を与える住民自主組織の要素は,【活動形態】【役割】【ネットワーク】【組織変化】【人】の5つであった.(2)個人の変革プロセスとして【体験と情緒的効果】【活動継続】,自己の一部分の変化でもある【部分的行動変化】【自身の再発見】,自己全体の基盤となる【信念変換】,最終段階では,個人エンパワメントのテーマを表すカテゴリーの【人生の再デザイン】を描いていた.その際方向づけを【身をもって得た情報】で行い,【積極的な取り組み姿勢】を原動力としていた.3.人生の再デザイン後の結果:(1)取り組み姿勢が,【自分らしく】を特徴とした活動となっていた.(2)【活動の場の広がり】が,<コミュニティ><日常のちょっとした手助け><家庭内>の3つの場で広がっていた.【視野の広がり】は,<家庭へ><組織全体へ><組織からコミュニティへ><制度へ>と大きくなっていた.以上が住民自主組織に所属する個人エンパワメント構造である.このことから個人・住民自主組織・コミュニティの関係の中でエンパワメントを検討することが必要であり,個人にとって住民自主組織に所属する意味,住民自主組織の意義について考察した.
  • 塩見 美抄, 岡本 玲子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 41-48
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,熟練保健師による活動事例を基に,事業・施策展開を要する課題を明らかにするための保健師の判断内容を明確化することであり,判断の構造化を試みる.研究対象は,近畿2府県の保健所に勤務し,事業・施策展開を要する課題の判断能力に優れていると複数の地域看護学有識者や保健師の上司から推薦された保健師14名である.データ収集は,半構成質問紙を用いた個別面接調査により行った.得られたデータは逐語録におこし,保健師の判断内容について質的記述的に分析した.結果,保健師の判断内容として,【課題の存在を認識する】【課題の真髄を探る】【対象の課題解決力を見積もる】【サービス提供側の課題解決力を見積もる】【活動の結果を予測する】【活動が対象に及ぼす影響を予測する】などの19のカテゴリーが得られた.これらのカテゴリーは3つの局面に分類され,保健師は,活動の中で3局面にわたる判断を重層的に繰り返しながら,事業・施策展開を要する課題を明確化していた.また,保健師の判断には,【対象本位のスタンス】【地域拠点の活動志向】【行政保健師としての使命観】といった前提があり,判断の着目点,考慮点,意図などに影響していた.今回明らかになったような保健師の判断は,事業化・施策化の役割を求められている保健師が,看護専門職としての独自性・専門性をもってその役割を担っていくうえで,重要であると考える.
  • 安井 真由美, 海老 真由美, 村山 正子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 49-54
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,在宅療養中の終末期がん患者の思いを,患者の視点に立って探求することを目的とした.方法論としてエスノナーシングを用いた.3名の在宅療養中の終末期がん患者を主要情報提供者とし,2名の家族,3名の訪問看護師,2名のヘルパーの計7名を一般情報提供者とした.得られたデータを分析した結果6つのテーマが抽出された.テーマ1:患者はさまざまな手段を用いて,生き抜いていこうと思っている.テーマ2:患者は,生きたい,でも死を受け入れざるをえないと葛藤を繰り返し,葛藤の中の受容のときに死の準備をしている.テーマ3:患者は,病院と自宅を比較し,自宅での今までどおりの普通の生活を求め,普通の人と同じように接してもらいたいと思っている.テーマ4:患者は,何らかの役割をもつことにより,社会的存在としての意味を探索している.テーマ5:患者は,自宅でも何らかの医療を受けざるをえない状態であると認識している.テーマ6:他者の援助が必要である患者は,他者と受け身な関係をもつことにより,その関係を継続しようとしている.以上6つのテーマから,テーマ1を核として大テーマを導き出した.大テーマ:在宅療養中の終末期がん患者は,療養者である自分を受け入れながら,普通の人として社会に存在することを望み,最期まで自宅で生き抜いていこうと思っている.以上のことから,終末期がん患者が在宅療養をするということについて考察し,看護への示唆を得た.
  • 安齋 由貴子, 吉田 澄恵, 麻原 きよみ, 村嶋 幸代, 佐藤 憲子, 酒井 太一
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 55-61
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,市町村保健師が新たに事業を企画,実施し,定着させていくプロセスを分析することによって,保健師活動における事業過程の特徴を明らかにすることを目的に行った.研究方法は,3市町で実施した5事業の企画・運営に携わった保健師6名に半構成的面接を行い,質的記述的研究方法を用いて分析を行った.この結果,9カテゴリーが見出された(「住民の実態を把握し,対応の必要性を判断する」,「地域に必要な対策案について,その妥当性を検討する」,「組織の理解を得ながら,実施の機会を判断する」,「事業実施のために住民の体制を整え,試行的に対策案を実施する」,「国,県,町の政策に位置づける」,「事業実施のために行政組織および組織間の体制を整える」,「事業の継続に向けて,住民の主体性を育成し,自主的活動を支援する」,「事業の効果を評価する」,「事業の発展・拡大を企画する」).また,これらのカテゴリーから,市町村の事業として実施する時点で,保健師は,すでに住民のニーズを把握し,実施のために準備を整えていることが明らかになった.また,国や県の施策,またはモデル事業や補助事業などを常に意識して情報収集し,必要な事業をこれらに位置づけるという方法を用いて事業化していた.さらに,常に評価を行いながら,地域全体に波及する事業へと発展・拡大させていた.
  • 石原 多佳子, 水野 かがみ, 古澤 洋子, 後閑 容子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 62-67
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:山間地域の外出頻度の少ない在宅高齢者の特性を明らかにし,その支援の方向性を検討した.方法:A町2地区の65歳以上の全在宅高齢者721名に本人または家族による自記式アンケート調査を実施した.有効回答数は541人であった.外出群と非外出群に分類し身体的,社会的,心理的調査項目との関連を検討した.χ2検定,t検定を行った.またこの2群を従属変数として,年齢,性,外出時介助の有無を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った.結果:非外出群の特徴は,家庭内での身の回りについては介助なしに過ごせるが,徒歩で少し遠くに外出することは介助が必要であった.外出等の移動時に,身体的な負担感を自覚できる者(痛み,負担感,見えにくさ等)であった.生活に対する満足感や幸福感は,外出群と比較すると低いものの比較的充足していた.身近な他者との関わりや楽しみをもち,自分の役割があると感じていた.しかし社会との関わりや日常生活の主体性については低下していた.まとめ:山間部では身辺の自立が不可能になると,町に住む子どもの家で同居するか施設に入るため,在宅高齢者は身辺自立が何とか可能な,しかし外出は介助が必要な虚弱高齢者が多いことが明らかになった.閉じこもりを予防するためには,仲間との交流の機会だけではなく,移動手段の確保が必要である.また通常(健康時)の社会生活ができる環境を整えることも重要であり,今後生活空間(場)を広げる外出機会とその手段を確保・支援するための施策が必要である
  • 石川 貴美子, 渋谷 ちづる, 佐藤 真琴, 岩室 紳也
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 68-74
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:地域・家族の機能や疾病構造の変化に伴い育児不安や虐待問題への対応など地域のニーズも複雑・多様化し,市町村保健師においてもヘルスプロモーションの理念に基づいた活動が求められている.今回,保健師が計画の策定に取り組んだ過程(以下,「計画策定過程」という)や計画を策定した後の実践で,保健師が発揮した役割,役割を発揮するために必要な技術,そしてこれからの市町村保健師に必要とされる役割を分析,検討した.方法: 1)「秦野市母子保健計画」と「健康はだの21」の計画策定過程および策定後の実践で,(1)保健師の業務内容の変化,(2)保健師が発揮した役割や保健師が役割を発揮するために必要とされた技術が確認できる部分を,計画の策定委員会会議資料,計画策定後の進行管理表,保健師活動の実績報告書,学会参加原稿などの資料から,抽出した. 2) 1)で抽出された保健師の業務内容や技術を,「保健所保健婦の企画・調整能力に関する研究」で示された県の企画・調整部門の保健師が果たすべき5つの役割・機能およびオタワ宣言にある「ヘルスプロモーションのための5つの優先的行動分野」を参考に整理し,保健師が発揮していた役割,役割を発揮するために必要とされた技術を明らかにした.結果:「秦野市母子保健計画」の策定過程・実践において,(1)基本的な行政の事務処理能力,(2)情報の収集・分析と地区診断能力,(3)企画立案・政策形成能力,(4)各種施策等との調整能力,(5)プレゼンテーションの能力を習得・強化させることができ,「健康はだの21」の策定過程・実践においてこの役割をさらに磨き,ヘルスプロモーションの理念を積極的に取り入れることを意識した活動が展開できるようになった.また,これらの能力を効果的に獲得するためには,自己研鐙とOJTの両面から,計画策定や実践,評価をテーマとした学会への参加を継続し,他者から評価を受ける訓練を積み重ねていた.結論:計画を基本とした地域づくりを推進するための市町村保健師に必要な役割や機能は,通常業務のなかで計画の策定や進行管理を意識し,学会参加等の機会を活用して担当業務の分析や評価を繰り返すことで効果的に修得することができ,幅広い視点で活動できることが明らかになった.
  • 二宮 一枝, 難波 峰子, 北園 明江, 岡田 ゆみ, 小野 ツルコ
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 75-80
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:中山間地域のA町に在住する中高年の地域活動について勤労,生きがいおよび定住願望との関係を明らかにする.研究方法:中山間地域のA町に在住する40〜64歳の全住民1,801名を対象に,勤労状況,地域活動(町内会等地縁的住民組織活動),定住願望,生きがいに関する自記式質問紙調査を行った.調査票は町内保健指導員を通じて配布し郵送により回収した.倫理的配慮として,個人の特定はされないこと,結果は調査の目的以外に使用しないことを明記した.内容は(1)属性,(2)勤労状況(職業,勤務場所,通勤時間),(3)地域活動(参加の有無,不参加理由),(4)定住願望(住み続けたいか),(5)生きがい(11項目複数回答)等である.分析は,地域活動参加の有無別に分け,基本属性,勤労,生きがい,定住願望についてχ2検定を行い比較した.結果および考察:中山間地域A町の中高年の7割が地域活動に参加し,「住み続けたい」という定住願望を有していた.地域活動は通勤時間に関係なく,町内での勤務,職業(農林業,公務員・団体職員),定住願望が関係していた.性別では男性の参加が高いという特徴を示した.地域活動参加者および定住願望者は年齢とともに漸増するが,50歳代で男女の割合が逆転するという傾向がみられた.また,生きがいの第1位が男女とも仕事であることも特徴的であった.今後は,趣味やスポーツなど,多様な生きがい形成を考慮した中高年の健康づくりを推進する必要がある.このためには,職域と地域の連携が重要であり,町内会等地縁型住民組織の地域活動が鍵と考えられる.
  • 岩本 里織, 岡本 玲子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 81-87
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,保健師による介護予防活動の対象発見方法を明確にすることである.被調査者は,介護予防事業を推進している近畿圏内の7市町において介護予防事業担当保健師で,上司から推薦を得られた者10名である.調査方法は半構成質問紙を用いた面接である.分析は,面接の逐語録から対象を発見するための活動と読み取れる内容を抽出し分類した.結果,被調査者の保健師経験年数は平均20年,年齢は平均43.3歳であった.対象発見方法は,保健師が獲得した情報における対象の顕在性により,I対象を顕在化する個別の情報,II対象が潜在する住民の情報のそれぞれから対象を発見するという2つに分類された.前者には,介護予防ニーズをもつことが明瞭な対象と,それが推測される対象の情報があった.後者には,ハイリスク者・介護予防活動の予備軍,特定地域,集結された情報に潜在する対象の情報があり,それらへ保健師が活動を起こすことにより対象を発見していた.対象に関する情報獲得の経路には,本人,家族,住民・住民組織,関係機関,保健師活動からがあった.既存文献で述べられた対象発見方法には,得られた情報における対象の顕在性やニーズの明瞭さに着目したものはなく,また詳細や体系的に示すものはなかった.本稿では介護予防ニーズをもつことが明瞭な対象だけではなく,それをもつことが推測できる対象の情報からや,対象が潜在する住民の情報からの発見方法を明らかにし体系的に整理した.今後さらなる検討を進め,保健師による介護予防活動の対象発見方法を確立させること,保健師による他の問題をもつ対象発見方法を確立させることが課題である.
  • 古澤 洋子, 榊原 千佐子
    原稿種別: 本文
    2004 年7 巻1 号 p. 88-92
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    目的:地域で生活する頸髄損傷者を対象に,健康生活習慣やQOLに関連する要因を明らかにすることにより,地域看護の視点から健康支援を検討することである.研究方法:頸髄損傷者連絡会G県支部の頸髄損傷者を対象として,健康生活習慣および意識・QOL項目について,郵送による自記式調査を実施した.同意の得られた60名を分析対象とした.結果:男性が81.7%,30〜50歳代が68.4%を占めた.受傷後の経過期間は「11年以上」が半数を占めた.障害の程度は,1級の重い障害を有する者が90%を占めた.健康生活習慣では,「間食習慣なし」「塩分控える」「運動習慣」「栄養バランスに気をつける」の実施率が低かった.QOL値においては,身体的要因による差はみられず,主観的な健康状態満足度・障害の受容など意識項目との関連がみられた.結論:頸髄損傷者が主体的に健康管理を行うために,健康生活習慣指導を実施していく必要性があると考える.セルフケア能力を支援することがQOLを高め,地域での生活を支援することになると考える.
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