目的:中山間地域のA町に在住する中高年の地域活動について勤労,生きがいおよび定住願望との関係を明らかにする.研究方法:中山間地域のA町に在住する40〜64歳の全住民1,801名を対象に,勤労状況,地域活動(町内会等地縁的住民組織活動),定住願望,生きがいに関する自記式質問紙調査を行った.調査票は町内保健指導員を通じて配布し郵送により回収した.倫理的配慮として,個人の特定はされないこと,結果は調査の目的以外に使用しないことを明記した.内容は(1)属性,(2)勤労状況(職業,勤務場所,通勤時間),(3)地域活動(参加の有無,不参加理由),(4)定住願望(住み続けたいか),(5)生きがい(11項目複数回答)等である.分析は,地域活動参加の有無別に分け,基本属性,勤労,生きがい,定住願望についてχ
2検定を行い比較した.結果および考察:中山間地域A町の中高年の7割が地域活動に参加し,「住み続けたい」という定住願望を有していた.地域活動は通勤時間に関係なく,町内での勤務,職業(農林業,公務員・団体職員),定住願望が関係していた.性別では男性の参加が高いという特徴を示した.地域活動参加者および定住願望者は年齢とともに漸増するが,50歳代で男女の割合が逆転するという傾向がみられた.また,生きがいの第1位が男女とも仕事であることも特徴的であった.今後は,趣味やスポーツなど,多様な生きがい形成を考慮した中高年の健康づくりを推進する必要がある.このためには,職域と地域の連携が重要であり,町内会等地縁型住民組織の地域活動が鍵と考えられる.
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