日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
コミュニティ・エンパワメントの構成概念 : 保健専門職による評価のための「望ましい状態」の項目収集
中山 貴美子岡本 玲子塩見 美抄
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2006 年 8 巻 2 号 p. 36-42

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抄録

目的:本研究の目的は,コミュニティ・エンパワメントの構成概念を明確化することである.本研究では,コミュニティ・エンパワメントの望ましい状態に焦点を当てた.対象と方法:研究デザインは,帰納的アプローチによる質的記述的研究を用いた.調査方法は,フォーカスグループ・ディスカッションを用いた.研究協力者は,ヘルスプロモーションの学識経験者3名と熟練保健師1名であった.結果および考察:分析の結果,127小カテゴリー,36中カテゴリーが抽出され,11の大カテゴリーにまとめられた.構成概念は,個人と組織,地域の3領域に大別された.個人領域では,【住民の健康に関する認識および保健行動の変容】が,組織領域では,【組織化と組織としての成長】【共通の課題の気づきと地域への働きかけ】【意思決定への参加と影響】【パートナーシップの形成】が抽出された.地域領域では,【多様性を認める地域文化】【相互作用による成長と相互扶助の醸成】【人々の地域への参加と働きかけ】【地域の支援ネットワークの向上】【地域の社会資源と施策の向上】【行政と専門家の変容】が見出された.望ましい状態には,人と人とのつながりが動的に形成され,相互作用しながら,住民自らが社会資源となり,地域社会への働きかけまでを行っているという特徴がみられた.これらは,コミュニティ・エンパワメントのめざす方向性や評価の視点として用いることができる.

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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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