日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
高齢者虐待予防のためのリスクアセスメント表の作成
上羽 累理岡本 玲子塩見 美抄中山 貴美子岩本 里織
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2006 年 8 巻 2 号 p. 43-50

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抄録

本研究の目的は,虐待の早期発見とその後の支援を円滑に行えることを目指し,高齢者に関わる関係者が初回訪問の際に虐待の可能性を評価するためのリスクアセスメント表(以下アセスメント表)を作成することである.研究方法は,まず包括的項目収集を目的として既存文献事例(106例)から虐待発生に関連するリスク要因と考えられる項目の抽出と精選を行った.その項目についてA保健所管内の高齢者に関わる関係機関職員に各項目の虐待発生に関連するリスクの程度を問う調査(有効回答数77)を行った.その結果をもとにアセスメント表試案を作成し,その後,「高齢者虐待事例」と「対照事例」にそれを使用し,事例ごとにチェック項目数とチェックされた項目の内容を比較して判断基準を検討した.その結果,最終的に,(1)被介護者,(2)介護者,(3)家族全体,(4)環境・その他の4カテゴリー55項目からなる「高齢者虐待予防のためのリスクアセスメント表」が作成された.今後,判断基準の精錬と,ケア提供者と連携した適正使用への取り組みが必要である.

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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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