日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
家族介護者の介護負担感および満足感と訪問看護師の認識の比較
上村 奈美
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2006 年 8 巻 2 号 p. 87-92

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抄録
目的:家族介護者の介護負担感および満足感と訪問看護師が認識する家族介護者の介護負担感および満足感を比較する.方法:訪問看護ステーションを利用する在宅療養者の家族介護者と訪問看護師79組を対象とし,Zarit介護負担尺度日本語版,介護評価尺度日本語版の満足感サブスケールを用い,家族介護者には面接にて,訪問看護師には自記式質問紙でデータ収集した.結果:介護負担感および満足感に関する両者の認識の一致度は全体的に低かった.認識の相違では,介護負担感22項目中「…必要以上に世話を求めてくると思いますか」を含む10項目で,満足感9項目中「…と一緒にいるのが楽しい」を含む2項目で訪問看護師の認識が強かった.反対に,家族介護者の認識が有意に強かった項目は,介護負担感22項目中「…あなたに頼りきっていると思いますか」を含む2項目,介護満足感9項目中1項目「…の関係で,やってあげたいことができているわけではないが,やらなくてはならないことはできている」であった.結論:本結果からは,訪問看護師が家族介護者の介護負担感および満足感を過大に認識している傾向が伺えた.訪問看護師が負担感や満足感を的確に把握するには,制限された訪問時間内に,家族介護者の思いを表出できる機会を随時つくり,それを受け止めるなどの方策が課題と思われる.
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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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