抄録
本研究では, 他者との協同的な省察によって,教師自身が自明としている認識の枠組みを問い直し,状況についての新たな理解を得るという教師の学びがどのようにつくられるのか,また,そこでの対話がどのような応答関係によってつくられているのか検証と考察を行った。分析から,安心感と理解してくれているという実感のある関係性が保障されている中で,観察可能なものである「授業」,「子どもの姿」,「行為」から,教師の内面にある行為の「意図」,そして子どもへの「願い」へと,内面に向かって問いを重ねていくことで,驚きの感情である「意外性」をきっかけに,授業者が自身の内面を語っていくという応答関係がつくられていたと考えられた。