日本学級経営学会誌
Online ISSN : 2434-7760
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選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 改発 智也, 浅田 匡
    2024 年 6 巻 p. 1-12
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
    学級経営の充実を図るにあたって,児童や学級集団,指導状況を的確に理解することが重要である。本研究の目的は,小学校教師が学級経営を中心とした多様な観点から授業をどのように認知しているのか明らかにすることである。3年生を担任する初任教師の算数の授業が360度カメラによって記録され,授業映像を視聴した退職校長2名によって学級経営の観点を中心とした自由な語りが得られた。分析の対象となる語りは,語られた場面(事象)と解釈の内容(種類)の2つの観点によって分類された。事象は授業前に作成された指導案と授業者・学習者の実際の活動をもとにして場面が区切られた。種類は実際に得られた語りをもとにして帰納的に作成された独自のカテゴリが活用された。2名の教師で共通した場面に注目して,同じ解釈がなされた事象(同事象同類認知)と異なる解釈がなされた事象(同事象異類認知)を検討した結果,同事象同類認知の場面では「従事」,「説明・指導法」という学習目標に関連する内容に言及されていた。一方,同事象異類認知に関して,「従事」-「説明・指導法」という原因帰属の違いがみられた場面や,「人間関係」-「説明・指導法」という異なる目標の対立する場面がみられた。教師は教授学習過程を中心とした授業認知をしながら,教授学習過程以外と他の多様な教育過程とを同時に達成する関係や,どちらかの指導過程を優先する対立関係が明らかとなった。
  • 小西 一博
    2024 年 6 巻 p. 13-20
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
     本研究では,知的障害特別支援学級に在籍する子どもに「5つのお願い(以下,FWと略記)」を適用することによって,どのような心理的変容が見られるかを分析し,その効果について検討した。箱イメージ書き込み法チェックリストを参考とした質問紙による結果から,「解放感」・「安定感」・「満足感」のすべての因子項目において得点の上昇が認められた。このことから,FWは知的障害特別支援学級に在籍する子どもの心理を肯定的に変容させるうえで有効な手立てとなると考えられた。さらに,本報告を通して知的に定型発達している子どもばかりではなく,知的な遅れがある児童においてもFWは効果的なアプローチになり得ることが示唆された。また,本事例を通してFWにおけるカウンセリング技法としての可能性が示唆された。FWは子どもの心的内容を探るための技法の域を超えて,カウンセリングへの導入の意味合いをも持ちうること,FWは感情面での発達が未分化な幼児からアレキシサイミア傾向のある成人までと幅広い対象に適用可能であることが窺われた。
  • 佐藤 百華, 水流 卓哉, 寺岡 幸作, 永井 寿樹, 金澤 美友菜, 小野 絵美, 赤坂 真二
    2024 年 6 巻 p. 21-30
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,SSTを核とした教科等横断的な対人技能指導が,児童の自己有用感にどのような影響をもたらすかについて明らかにすることを目的とした。具体的には,学級活動の時間にSSTを実施することによって,社会的スキルや対人技能を体得できるようにし,培ったスキルを,協同学習の場面においても一貫・継続して活用できるようにした。その結果,児童が認知する自己有用感に有意な正の変容が認められた。また,その要因を詳細に検討するために,自由記述や学習場面の発話をもとに分析したところ,SSTによる学びを中核とし,協同学習の場面で活用することで,児童の自己有用感が高まっていった可能性が示唆された。
  • 水流 卓哉, 赤坂 真二
    2024 年 6 巻 p. 31-45
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,自治的集団研究の動向と課題について考察し,今後の自治的集団における研究の進展に向けて示唆を与えることを目的とした。その結果,自治的集団研究の実証研究は,小学校中・高学年を対象としたものがほとんどを占めており,分析には,学級満足度尺度を活用したものが多く見られた。また,自治的集団を育成するためには,学級活動を核とした自発的・自治的な活動や話合い活動を行うことが有効であり,これらの継続的な取り組みは,学級満足度の上昇に寄与することが確認された。今後の課題として,①自治的集団における研究方法は,学級満足度尺度を中心とした量的研究が中心であるため,学級内の自治的能力に絞って測定することのできる尺度を作成すること,②発達段階や学級の実態に応じた自治的集団の在り方を模索し,他校種における実証的研究の積み重ねが必要であること,③自治的集団において,教師とは別の認識枠組みで学級を見つめている児童の学級集団に対する認知面に目を向けていくこと,の3点が求められている。
  • 寺岡 幸作, 赤坂 真二
    2024 年 6 巻 p. 47-57
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
     本研究は,協同学習に対する児童の自律的な動機づけに働きかける教師の信念及びそれに規定された指導行動を明らかにすることを目的とした。教師へのインタビューや授業での教師の発話を分析した結果,協同学習に対する児童の自律的な動機づけに働きかける教師は,「受容的態度・児童同士をつなげる」「児童の声を聴き,つなげる」「児童の意見を中心に据える」等の信念を中心にもち,児童の意見を授業の中心に据え,その意見をつなげたり意見交流の場を設けたり児童の意見を価値づけたりする等,協同学習における心理的欲求を充足するような指導行動を行い,協同学習に対する自律的な動機づけを高めていることが示唆された。
  • 心理的安全性の視点をもとに
    服部 純平, 赤坂 真二
    2024 年 6 巻 p. 59-69
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
     本研究では心理的安全性の視点をもとに,クラス会議の手法を取り入れた教員による話合いの影響について明らかにすることを目的とした。教員11名を対象に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下,M-GTA)を用い分析を行った。その結果,7個のカテゴリーと8個のサブカテゴリー,13個の概念が生成され,それらは一連のプロセスとして結果図にまとめられた。クラス会議の手法を取り入れた教員による話合いでは,参加者の対等性が保障され,互いに尊重し合うことにより,心理的安全性が醸成される可能性が示された。また,話合いの影響が日常生活へとつながっていくことで,教員間のかかわりが生まれたり,組織的な教育活動を効果的に行えるようになったりする可能性が示唆された。
  • 日本学級経営学会
    2024 年 6 巻 p. 71-73
    発行日: 2024/03/21
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル フリー
    2024年3月9日(土)9:50〜17:00に上越教育大学で開催された「第6回日本学級経営学会研究大会の記録」である。 研究大会のプログラムを載せている。 具体的には,基調講演,鼎談,そして研究発表の題目と発表者一覧である。
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