抄録
本研究は,公平な相互評価を行うことを目的に,授業の導入部分で前時の振り返りを相互に評価する活動を1単元行った。この相互評価においては,被評価者情報を取り除いた上で評価基準を事前に示し,その過程での学習者の変容を分析する。分析1では相互評価結果と教師評価結果の一致した人数を算出した。その結果,一貫性があり妥当性が高い公平な評価の出現した人数が増加し,甘い評価の出現した人数が減少したことから,公平な評価ができることが示唆された。分析2では授業アンケートと会話記録を分析した。その結果,評価結果に着目した相互評価から評価結果の理由に着目した相互評価へと変化していったことが明らかになった。これらより,評価基準を事前に示す相互評価を継続して行うことで公平な評価を促すことが示唆された。