抄録
小学校外国語科における児童の学びやすい学習環境について,児童の性格性向による学び方の違いから検討を行った。外向性測定尺度Big Fiveを用い,児童を外向性の低い女子と高い女子,外向性の低い男子と高い男子の4グループに分類し,それぞれの児童にウェアラブルカメラを付け,学びの様子を分析した。結果として,外向性の低い女子では自分のペースで学ぶ事ができる学習環境などが,外向性の高い女子では,友達と関わりながら学べる環境が,外向性の低い男子ではICT機器の活用が,外向性の高い男子では明確な目標設定と活動設定が有効と考えられた。性格性向別に児童の学び方に違いはあると考えられるが,外向性の高い女子が,外向性の低い男子で有効と考えられたICT機器の活用を選択することはあり得る。従来の一斉授業では,課題に対して画一的な取り組み方しか示されない授業が見られるが,児童にとって学びやすい学習環境とは,明確な目標や取り組みの目的の示された環境と,自身の学びをコントロールできる選択肢の用意された学習環境と考えられた。このような誰にとっても学びやすい学習環境の準備が,児童にとって学習活動での新たな一歩を踏み出すきっかけになることが示唆された。