抄録
本研究は,協同学習に対する児童の自律的な動機づけに働きかける教師の信念及びそれに規定された指導行動を明らかにすることを目的とした。教師へのインタビューや授業での教師の発話を分析した結果,協同学習に対する児童の自律的な動機づけに働きかける教師は,「受容的態度・児童同士をつなげる」「児童の声を聴き,つなげる」「児童の意見を中心に据える」等の信念を中心にもち,児童の意見を授業の中心に据え,その意見をつなげたり意見交流の場を設けたり児童の意見を価値づけたりする等,協同学習における心理的欲求を充足するような指導行動を行い,協同学習に対する自律的な動機づけを高めていることが示唆された。