抄録
本研究は,児童の共同体感覚が高い学級における担任教師に着目し,算数科の一斉授業場面における指導行動で多く見られるものを勇気づけの視点から分析して明らかにすることを目的とした。分析Ⅰでは,E教諭の発話記録を「担任教師の働きかけ」分析カテゴリーに分類し,分析した。その結果,【発問・問いかけ】【指示・判断・許可】【提案・意見・感想】が多く確認され,教科指導に関連した指導行動が多く見られたことや児童に授業を委ねる間接的な指導行動を行っていたことが明らかとなった。分析Ⅱでは,E教諭の指導行動の記録と半構造化インタビューの記録を「勇気づけのフレーム」を用いて分析をした。それにより,E教諭が勇気づけとみられる指導行動を行っていることが明らかになった。これらのことから,教師は共感的な態度と児童との対等性を意識していることが,算数科の一斉授業の児童に関心を寄せる問いかけや他者との対話を促す指示,主語を一人称にした提案や感想といった指導行動に現れ,それが勇気づけとして機能している可能性が示唆された。