2018 年 7 巻 p. 21-29
本研究では,児童の孤独感対処方略の選択と学級生活満足度との関係を検討した。また,侵害行為認知群に属する児童の孤独感が,なぜ教師から把握されにくいのかについて孤独感対処方略に着目し明らかにすることを目的とした。小学生439名を対象に,質問紙調査を実施した。分析の結果,侵害行為認知群に属する児童は,孤独感の対処方略として自己呈示を使用する傾向があることが示され,それにより孤独感の主観的評価と客観的評価のズレが生じている可能性が示唆された。また,個人の学級満足度によって選択される孤独感対処方略も異なることが示された。これらの結果をもとに,学級生活満足度尺度の4群に対する孤独感対処方略の特徴について整理した。