学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
学級目標を共有したルール定着化と自治的な活動促進の取り組み及び自律性支援を志向する教師の一貫した指導による児童の学級適応,スクール・モラールの変容
―小学校高学年における事例報告―
中田 康亮
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 8 巻 p. 69-80

詳細
抄録
本研究の目的は,河村(2012,2014)の実践例を参考とし,学級目標を共有したルール定着化と自治的な活動促進の取り組み及び自律性支援を志向する教師の一貫した指導行動が,認め合いを促しルールを確立させ,適応的な行動に方向付け,学級適応とスクール・モラールを高めることにつながったかどうかを小学校高学年において確認することである。実施した結果,児童の活動の様子に認め合いやルールを順守する姿,親和的な学級雰囲気の中で仲間との交流を深める姿,そして意欲的に学習に取り組む姿が見られた。そして,Q-U各尺度得点の差の出現率から,学級目標を共有したルール定着化の取り組みが,ルールの定着化を促し,侵害行為を減らし学級適応を促すこと,自治的な活動促進の取り組み及び自律性支援を志向する一貫した指導行動が,スクール・モラールの「学習意欲」を高めることが推察された。一方で,学級適応とスクール・モラールの高まりに合わせた個別の支援の必要性が課題として推察された。
著者関連情報
© 2019 日本学級経営心理学会
前の記事
feedback
Top