抄録
本研究では,インクルーシブ教育の拡充に向けて,教員の特別支援教育に関する資質や意識に関連する要因を,「特別支援教育に対する学習」と仮定し,「大学での特別支援教育に関する学び(関連科目の履修状況)」と,教育学部,教員養成課程に在籍する学生の特別支援教育に対する「不安感・負担感」,「やりがいのなさ」との関連を明らかにすることを目的とする。首都圏の開放制教員養成を行うA大学に通う教育学部生及び教員養成課程履修生360名に対して調査を実施し,有効調査対象者は302名であった。科目の履修数を,対象の科目を履修していない「科目0」群,1~3個履修している「科目1~3」群,科目を4個以上履修している「科目4以上」群の3群に分類した。科目履修状況,教育実習の実施の有無と,特別支援教育不安感・負担感尺度との関連を検討したところ,大学における特別支援教育に関する科目履修状況と教育実習の実施が,教育学部・教員養成課程に在籍する学生の特別支援教育に対する「不安感・負担感」及び「やりがいのなさ」に関連があることが明らかになった。