2010 年 14 巻 1 号 p. 21-30
信州大学では平成12年より光回線を用いたGigabit Ethernetネットワークを構築してきた.信州大学に割り当てられたClass BのGlobal IP Addressはこのネットワーク上にて利用可能である.しかし,近年においては自由度の高いGlobal IP Addressだけでなく,より安全性の高いネットワークの学内需要が高まった.この安全性の高いネットワークを提供すべく,2004年に本学全域に対してサービス可能なネットワークシステムとして「信州大学セキュアネット2004」を構築した.本ネットワークシステムはPrivate IP AddressとNATをベースとし,Web認証システム,統合認証システム,ポータルサイトと連動する認証ネットワークシステムである.2007年以降,遠隔講義システムSUNS(Shinshu Ubiquitous-Net System)の構築が本格化し,またe-Learningによる授業の本格化した.加えて,ネットワークの利用を前提とした学生ノートPC購入など,本システムに参加するユーザの大幅な拡大,及び,セキュリティ上の様々な対応が必要となった.これらの要件に対応するため,前システムを大幅に改良し新しいネットワークシステムとして「信州大学セキュアネット2010」を構築した.本ネットワークシステムにより,安全性の高いネットワークを大規模化対応可能とするだけでなく,本学におけるセキュリティ上の対応や,ユーザ個々の追跡など高度な分析や制御が可能となった.