2024 年 28 巻 1 号 p. 44-56
横浜国立大学と附属学校間のIP-VPNを,NTT東日本の「フレッツ光ネクストとフレッツVPNプライオ」による運用から,「フレッツ光クロスとIPv6ダイナミックDNSサービス」による運用に変更することで高速化を実施した.そして,その安定運用とスループット改善についての評価を行った.クロス回線から動的に割り当てられるIPv6 Prefixの変更頻度の評価を行い,大学側,附属学校側の2回線とも9か月間変更されていないことを確認した.この事から,VPNルータが動的に生成するIPv6アドレスも頻繁な変更が発生しないことが確認され,IPv6 Prefixが変更された場合に備えて,IPv6ダイナミックDNSサービスを利用することでIP-VPNの安定運用を実現できることを明らかにした.スループットの評価では,5分平均トラフィックでは1 Gbpsを超える値が,そして,5秒平均トラフィックでは1.52 Gbpsの値が計測された.以上のことから,ベストエフォート型の共有回線,かつ,IPsecによるIPv4 over IPv6トンネル通信環境下でも,高速IP-VPNが実現できることを明らかにした.