抄録
心不全とともに生きる体験の共通構造を明らかにするために,日本の心不全患者の体験に焦点を当て,既存の心不全患者の体験に関する質的研究を統合した。医療制度や文化的背景を考慮し,日本の成人期・老年期慢性心不全患者の療養生活に関する質的研究であることを選択基準とし,14件を分析対象とした。報告された患者の体験データの統合により,心不全とともに生きることについて,<療養行動の意味と選択> <信頼できる医療者の存在> <心不全とともにある自己の尊重> <独自の体調の指標と対処> <病気の進行の受容> の5つのテーマが見出された。これらは,療養行動,医療者との関係性,自己の捉え方,身体感覚,病気の時間的進行という異なる側面から,心不全とともに生きる体験を表していた。患者の心不全とのつき合い方は,患者が自身の価値観や生活文脈の中で意味づけと選択を重ねながらその都度見出され,更新されていくものであることが示された。