コミュニティ政策
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自由投稿論文
イタリア・ボローニヤ市地区評議会(CdQ)システムと市民参加の現状
山田 公平
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2008 年 6 巻 p. 99-123

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抄録

本稿は、1990年代以降のイタリア地方自治改革の過程における、ボローニヤ市の地区評議会の活動と市民参加の現状について、検討したものである。とくに地区評議会の委員会システムを媒介とした市民参加について、現地での調査結果の分析を焦点としている。
本稿は、その前半において1960年代後半から1980年代末にいたるボローニヤ市地区評議会の創設・発展期を概観し、地区自治の社会ネットの中で、地区評議会の活動が地域コミュニティの創造的形成の役割を果たすとともに、地区評議会委員会をとおして市民参加を促進するという、ボローニヤ市における地区自治と市民参加の原型が形成されていく過程を、これまでの研究成果の整理をとおして明らかにする (第1章)。
後半では1990年に始まる地方自治改革において、地区評議会の活動が、市民参加の新原則である「自由な連帯の形態」 (LFA) によって再定置され、地区評議会委員会の活動が、LFAの原則によって拡充された市民・アソシエーションの参加を促進していく過程を、新たにたどる。そのなかで、ボローニヤ市内のサン・ドナート地区における地区評議会システムの改革と委員会活動への市民参加の現状を、調査結果によって具体的に明らかにする (第2・3章)。
以上の実情紹介とその分析をとおして、イタリア地方自治における地区評議会システムの現代的意義を明らかにする手がかりを示すことが出来ると考える。

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