抄録
本稿では、以下の検討を通じて、ガバナンス概念の有用性を明らかにし、具体的な事例への汎用性を導くことを目的とする。第一にコミュニティの担い手組織の区分と対立・連携をめぐる議論を整理する。第二にガバナンス概念から過程と対抗の要素を抽出し、多元的な主体の役割分担によるガバナンスの多様化と、権限の委譲によるガバナンスの多層化について検討する。第三にサブ・ローカルな水準のガバナンス概念を具体的に検討するために、担い手の対立から結社創出にいたるまちづくりの事例研究を行う。担い手組織としてのボランタリー・アソシエーション (VA) は、公認/非公認、表出的=共楽型/手段的=共苦型など様々な軸の組み合わせで区分される。闘争の結社創出と団結の過程に注目すれば、それらを通じて何を継承していくのかについて考える必要があり、また、闘争の社会的遍在性に依拠すれば、それは社会の形成・存続・発展にとって意義がある。つまり、担い手の対立過程を容認することで、ガバナンスの有用性や汎用性も高まると考えられる。