比較政治研究
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政党内政治と内閣の終了
―党首選出制度の視点から
上條 諒貴
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2018 年 4 巻 p. 1-30

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抄録

本稿は、同一政党内での首相の交代という、内閣の終了に関する従来の理論では説明困難な現象に対して、党首選出制度の違いに着目することで接近を試みるものである。

本稿ではまず、党首選出制度の開放性(一般党員の関与)の違いが、選出される新首相の政策位置・能力・人気、そして現在の首相交代の可能性にどのように影響するかを考察するための数理モデルを構築する。モデルの検討の結果、議員のみで党首を選出する閉鎖的党首選出制度の下でのほうが、一般党員が関与する開放的選出制度の下より首相交代が起こりやすいという仮説が導かれる。

その後、オーストラリア、カナダ、日本、イギリスの首相データを用いた生存分析によって、数理モデルの含意を検証する。分析の結果、一般党員など議会外政党が関与する党首選出制度の下の首相より、議員のみで党首を選出する制度の下の首相の方が交代するリスクが有意に高いことが示される。

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© 2018 日本比較政治学会
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