日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
原著
肺切除術後心房細動の危険因子に関する検討
下村 雅律島田 順一加藤 大志朗西村 元宏伊藤 和弘柳田 正志寺内 邦彦西山 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 19 巻 2 号 p. 90-93

詳細
抄録

心房細動は肺切除術後にしばしば見られる合併症である. 今回はその発症原因に血清カリウム値が関与するかを中心に検討した. 術前から心房細動を合併していた症例を除く肺切除術134例中, 術後に心房細動を発症したのは19例 (14.2%) であった. 発症例と非発症例で比較すると平均年齢は非発症例の62.4歳に対し発症例は71.3歳と有意に高く (p=0.02), 男女比は非発症例の1 : 1に対し発症例は3.8 : 1と男性が多かった (p=0.03). 術中の水分出納は発症例の平均は+1389ml であり, 非発症例の平均+960ml より有意に多かった (p=0.002). 術後の血清カリウム値には有意差は認めなかった. 区域切除・部分切除例 (63例中3例 : 4.8%) と比較すると肺全摘・肺葉切除例 (71例中16例 : 22.5%) では有意に発生率が高かった (p=0.005). 肺切除術後の心房細動発症には血清カリウム値の低下は関与しないと考えられた.

著者関連情報
© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top