抄録
症例は51歳, 男性. 既往歴は肺動静脈瘻に対して30年前に左肺S8区域切除術, 20年前に右肺中葉切除術を施行されている. 今回, 右肺下葉 (S7) の3cm大の肺動静脈瘻の診断で当科紹介となった. 肺動脈造影検査でA9 + 10より瘤が造影されるが近接しており, 塞栓可能な明らかな流入枝が見られないために手術療法を選択した. 20年前の中葉切除による影響で上下葉間は強固に癒着していた. そのために背側からB6区域気管支を一旦切断して肺動脈区域支を処理した後に, B6区域気管支の再吻合を施行した. 術後は一過性の右心負荷症状を呈したが, その後の経過は良好で, 現在は社会復帰している.