日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
ACTH産生胸腺カルチノイドの1手術例
二反田 博之森田 理一郎坂口 浩三中村 聡美赤石 亨山崎 庸弘岡部 智金子 公一
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 19 巻 4 号 p. 605-609

詳細
抄録

ACTH産生胸腺カルチノイドを経験した. 症例は52歳男性. 多飲, 易疲労感を主訴に入院. ACTHとコルチゾールが高値で8mgデキサメサゾン抑制試験にてコルチゾールの分泌は抑制されなかった. 胸部CTにて前縦隔腫瘍を認め, 縦隔内の異所性ACTH産生腫瘍と診断した. 2003年12月に手術を施行し, 胸腺組織内に線維性被膜に覆われた腫瘍を認めた. 縦隔胸膜などへの浸潤はみられなかったため胸腺全摘を行った. 病理学的検査では腫瘍の被膜浸潤が一部にみられ, 細胞の異型に乏しいが凝固壊死を伴っていたため非定型的カルチノイドと診断した. また免疫染色にてACTH陽性であった. 術後経過は良好で4病日にはACTH, コルチゾールとも正常範囲内になった. 術後に放射線照射を行い現在経過観察中である.

著者関連情報
© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top