75歳女性, 左S1+2末梢小型肺腺癌症例に対し, 積極的縮小手術として胸腔鏡下解剖学的上大区域切除術を行った. 舌区との区域間は肺静脈の走行などを指標にして, 解剖学的区域間で超音波凝固切開装置を用いて切離した. 残存肺切離面の処理にはフィブリン糊とPGAフェルトを使用した. 術直後よりエアーリークは全く認めず, 手術翌日に胸腔ドレーン抜去し第7病日に退院した. 病理はAdenocarcinoma Noguchi Type B. 腫瘍径12×10×7mm. 病理病期T1N0M0 stage IA. 胸腔鏡下手術による胸筋温存などの低侵襲性に加えて, 自動縫合器を使用せずに超音波凝固切開装置を用いて区域間を切離する方法により, 良好な残存肺の膨張と容積温存が得られた. またフィブリン糊とPGAフェルトによる切離面処理法は, 術後肺瘻を防止して早期離床・術後QOL向上に貢献した. 本術式は末梢小型肺癌等に対する縮小手術術式の一つとして有用となる可能性が示唆された.