日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) を合併した肺癌の1手術例
川邉 正和佐々木 正人平井 誠也井隼 彰夫田中 國義
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2005 年 19 巻 6 号 p. 732-735

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抄録

症例は71才, 女性. 主訴は咳嗽, 喀痰. 入院時, 貧血なく, 皮下出血斑を認めず. 胸部X線写真及びCTにて左S9に径20×20mmの結節影を認めた. CTガイド下肺生検にて腺癌と診断された. 入院時の血小板数が1.3×104/mm3と著しく減少しており, PAIgGが107.4ng/107cellsと上昇, 骨髄像から特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断した. 手術を予定し, 術前に大量免疫グロブリン療法を施行した. 血小板の増加は良好であったが, 手術に際しては不十分であると判断し, 血小板輸血を併用した. 手術は左下葉切除を行い, 術後出血などの合併症はなく, 術後8日目に血小板数は1.2×104/mm3となったため, プレドニゾロン45mg内服を開始した. 出血凝固系に異常がなくても, 手術侵襲を契機にITPが増悪する可能性もあり, 術前に血小板数を安全域まで増加させておくことが必要であると考えられた.

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