抄録
初回手術後7年という遠隔期に再発を認めたsolitary fibrous tumor (SFT) の1切除例を経験したので報告する. 症例は84歳, 女性. 主訴は右前胸部痛. 1995年9月に縦隔腫瘍に対し腫瘍摘出術を施行した. 当時は胸腺腫・正岡II期と診断され, 外来で経過観察されていた. 術後7年目の2002年8月に右胸腔内に腫瘤影を認め, 切除術を施行したところ悪性のSFTと診断された. また, 前回手術時の腫瘍を組織学的に再検討した結果, 今回のものと非常に類似しており, 当時の腫瘍もSFTであったと再診断した. 今回の腫瘍は腫瘍遺残からの再発例であると考えられた. 術後30ヵ月の現在, 再発を認めず経過良好である.