日本呼吸器外科学会雑誌
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高カルシウム血症を呈する副甲状腺腫を合併した胸腺カルチノイドの一例
阪本 仁関根 隆小阪 真二高橋 剛士
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2006 年 20 巻 1 号 p. 49-55

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抄録
症例は57歳, 男性.2004年3月に左季肋部痛を認め, 胸部CTにて前縦隔腫瘍を指摘された.同18日, 胸腔鏡下に胸腺腫瘍および胸腺切除術を施行した.術中病理検査にて胸腺癌の疑いがあり, 胸骨縦切開にて縦隔リンパ節郭清を施行した.最終的には, 非定型胸腺カルチノイドであり, リンパ節への転移は認めず, 周囲組織への浸潤を認めるとの病理結果であった.術後, 縦隔へ放射線治療を施行した.経過中, 高カルシウム血症を認め, 精査にて, 副甲状腺腫瘍・副甲状腺機能亢進症を指摘された.同10月8日, 副甲状腺腫瘍切除術を施行, 腺腫との診断を得た.本症例は, 非定型胸腺カルチノイドである点, 多発性内分泌腺腫症(Multiple Endocrine Neoplasm)の可能性がある点において, 厳重な経過観察が必要である.
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