日本呼吸器外科学会雑誌
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Scedosporium apiospermumによる肺感染症の2症例
渡辺 健寛小池 輝元今給黎 尚幸広野 達彦
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2006 年 20 巻 4 号 p. 620-625

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抄録

稀な真菌感染症であるScedosporium apiospermumによる肺感染症に対して肺切除を施行した2症例を経験したので報告する.症例1は66歳女性.34歳時に気管支拡張症と診断されたが,無症状で経過していた.1989年より喀血が出現し,近医で加療を受けていた.1996年9月2日多量の喀血が出現し,手術目的に当院へ紹介,入院した.右上葉の病変が喀血の原因と診断し,右上葉切除を施行した.採取した切除標本の組織培養でScedosporium apiospermumが検出された.症例2は27歳女性,中国からの帰国子女.1997年3月喀血で発症.1998年2月胸部異常影を指摘され,結核の疑いで当院へ入院.抗結核薬の投与にかかわらず病変の増大を認めたため,右上葉切除を施行した.採取した切除標本の組織培養でScedosporium apiospermumが検出された.2症例とも術後の経過は良好であった.

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