日本呼吸器外科学会雑誌
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術前に経皮的動脈塞栓術を施行した胸壁由来,孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor of pleura)の1切除例
西尾 渉坪島 顕司若原 鉄平
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2006 年 20 巻 4 号 p. 635-640

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抄録
症例は51歳男性.2004年12月咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線写真上異常陰影を指摘された.胸部CT検査で右胸腔に13cm大の腫瘤影を認め,MRIによって胸壁から発生した広基性の多血性腫瘍と診断した.CT下生検施行後から貧血の進行と胸水の増量を認めたため,術中の出血を制御する目的で栄養血管である右第7〜11肋間動脈に対する経皮的動脈塞栓術を行い,その翌日に手術を施行した.胸腔内には血性胸水が1000ml貯留しており,5肋間,4椎体にわたる広基性腫瘍に対して,栄養血管を切離しつつ胸膜外で切除を行った.腫瘍は明瞭な被膜を有しており,組織学的には血管周皮細胞腫に近似した,血管成分に富む境界悪性の孤立性線維性腫瘍と診断された.術後,胸壁に外照射を50Gy追加し経過観察中であるが,現在まで再発を認めていない.
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