日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
術前診断に難渋し,放射線化学療法後に胸壁切除再建を施行した胸壁原発孤立性形質細胞腫の1例
三和 健谷口 雄司足立 洋心藤岡 真治春木 朋広中村 廣繁
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2007 年 21 巻 4 号 p. 613-618

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抄録

症例は53歳男性.右腋窩リンパ節の腫脹を主訴に近医で精査し,右胸壁腫瘍と診断されて,当院整形外科に入院した.胸壁腫瘍に対して針生検を施行し,診断に難渋するも原発不明の小細胞癌の診断のもと,放射線化学療法を施行した.しかしその効果は軽度であり,病巣が胸壁と腋窩リンパ節に限局したため,正確な病理診断と根治治療の可能性を求め手術を施行することとした.約4ヵ月後,第4~6肋骨を含む胸壁切除およびコンポジットメッシュ®(バード社)と,有茎広背筋皮弁による胸壁再建を行った.病理で孤立性形質細胞腫(IgA,λ型)と診断された.術後施行した骨髄穿刺は異常を認めなかった.孤立性形質細胞腫は術前診断が困難で,多発性骨髄腫への移行や放射線治療単独での再発率を考慮して,さらに本症例では病変が限局していたため外科的切除を含む集学的治療を選択した.ただし,外科的切除までに約6ヵ月を要し,術前診断の難しさと重要性を改めて認識した.

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