日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
開窓術を施行後に壊死肺の自然脱落を認め,有茎腹直筋弁充填術にて根治し得た膿胸の一例
阪本 仁小阪 真二
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2007 年 21 巻 7 号 p. 917-921

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抄録

症例は66歳女性.急性心筋梗塞に対して当院心臓外科にて冠動脈バイパス術を施行した.術後右血胸を認め,術後6日目に後側方第7肋間開胸にて血腫除去術を施行した.さらに右膿胸を認めたため31日目に開窓術(第6-9肋骨後方部分切除)を施行した.膿胸腔のガーゼ交換を連日継続中の94日目に大量の壊死肺(10×5cm)の自然脱落を認めた.その後229日目に有茎腹直筋弁充填術を形成外科医と共同で施行した.しかし,充填術後に肺瘻が遷延したため,計3回気管支塞栓術を行ったが一時的な改善しか認めなかった.275日目に開胸にて肺瘻閉鎖術を行った.腹直筋弁は形成外科的な手技が必要であるが,大網や広背筋が利用できない場合は膿胸腔充填術に対して有用である.また,膿胸開窓術後の大量の壊死肺脱落は今回検索し得た文献においては稀であると考えられた.

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