日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺切除術後胸腔ドレーン管理に関する臨床実践の検討
金田 浩由紀齊藤 朋人馬庭 知弘南 健一郎齊藤 幸人今村 洋二
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2008 年 22 巻 2 号 p. 146-150

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抄録

文献による検討では,肺切除術後の胸腔ドレーンは水封管理が持続吸引管理と比較して同等か,優れていると考えられる.われわれは肺切除術後に標準的に水封管理としているが,気瘻が多すぎる場合には水封管理での問題が発生し,本来気瘻閉鎖に有利に働く水封管理から持続吸引管理に変更せざるを得ない症例がある.今回,水封管理で問題となった症例について検討した.2006年1月から10月までに行った肺切除術90例を対象として後ろ向きな検討を行った.閉胸後は-10cm H2Oで吸引を開始し,胸部X線写真にて残存肺の再膨張を確認するまでの約30分間続け,その後水封管理としている.経過中9例(10%)が水封管理から持続吸引管理への切り替えが必要であった.切り替えた理由の内訳は皮下気腫の増大5例,肺の拡張促進3例,排液の吸引1例であった.術後気瘻の多い症例では,皮下気腫の増大や肺虚脱に注意が必要である.

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