日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺癌手術症例における肺血栓塞栓症発症の予防
—低用量未分画ヘパリン投与の効果と安全性—
村岡 昌司生田 安司劉 中誠森永 真史君野 孝二
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キーワード: 肺癌, 手術, 肺血栓塞栓症
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2008 年 22 巻 6 号 p. 876-880

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抄録

肺癌手術症例における低用量未分画ヘパリン投与による術後肺血栓塞栓症予防の効果と安全性について評価を行った.3年間に経験した肺癌手術83例(男性49例,女性34例,68.9±9.2歳)に対して,術当日より低用量ヘパリンを十分に離床するまで投与した.この期間に症候性術後肺血栓塞栓症の発症はなかった.ヘパリンの投与量は1日5000単位26例,10000単位57例で,投与期間は4.8±2.6日,術後のドレーン留置期間は6.7±2.5日でヘパリン投与開始前の症例と差はなかった.術後合併症は,胸腔内出血2例,皮下血腫3例などで,胸腔内出血の2例はヘパリン10000単位/日の症例であった.肺癌手術例に対する術後肺血栓塞栓症予防を目的とした低用量ヘパリン投与の安全性について,出血に関する術後合併症増加に注意を要し,ヘパリンの至適投与量や適応および中止基準などに関して,さらに検討が必要と考えられる.

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