稀な肺衝突癌の1手術例を報告する.症例は72歳男性.検診で異常陰影を指摘された.CTにて右下葉に71×60×22mm大の含気を伴う高濃度吸収域を認め,その部位に接して22×12mm大の結節影を認めた.肺癌の疑いで,右下葉切除術を施行.病理組織所見では,扁平上皮癌と腺癌の衝突癌と考えられ,2種類の境界は比較的明瞭であった.扁平上皮癌成分と腺癌成分はともにpT2N0M0 p-stage IBであった.術後経過は良好で,外来にて経口抗癌剤内服していたが,術後10ヵ月胸腔内播種および肺内転移再発を認めた.衝突癌は予後不良例が多く,完全切除術後であっても厳重な経過観察が必要である.